【初期研修医・内科医】感染症・抗菌薬のおすすめ参考書 10選

【初期研修医・内科医】感染症・抗菌薬のおすすめ参考書 10選

この記事では初期研修医や内科医におすすめの感染症領域の参考書を10冊紹介します。

これは、200冊超の医学書を自宅に保有する内科医夫婦(血液専門医・リウマチ専門医)によるレビューです。
2人とも市中病院・大学病院で初期研修・後期研修を経験し、現在も研修医指導をしています。
若手医師がどんな疑問点を持って臨床をしているか、それを解決する本はどれかを理解したつもりで書きました。
不明点などあれば遠慮なくご連絡ください。よろしくお願いします。

目次

この記事で紹介する10冊

この記事で紹介するのは下記の10冊です。
沢山あるのでザックリまず紹介すると、①-⑥は初期研修をはじめて早目に読み始めたほうが良いもの、⑦-⑩は感染症をある程度勉強し、臨床を経験してから読んだほうが良いだろうものだと考えています。

  1. 感染症診療の手引き
  2. 感染症診療のロジック
  3. 感染症まるごとこの一冊
  4. 絶対わかる抗菌薬はじめの一歩
  5. できる! 見える! 活かす! グラム染色からの感染症診断
  6. 感染症プラチナマニュアル
  7. 抗菌薬の考え方,使い方
  8. レジデントのための感染症診療マニュアル
  9. 感染症非専門医・薬剤師のための 感染症コンサルテーション
  10. その抗菌薬はいりません

①感染症診療の手引き

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この本の役立つ場面、この本のメリット

  • 仕事中に感染症の基本を参照したいときに役立つ

本書は感染症診療の基本が学べるポケットサイズの本です。

編著は大阪国際がんセンター 感染症内科や国立国際医療研究センター 国際感染症センターの先生方が執筆されています。

本書はポケットサイズながら感染症の基本が一通りわかり、なおかつ抗菌薬の投与量がすぐに参照できるという優れものです。

臓器別の感染症診療の基本をシンプルに解説してあり、最初にもっておく一冊としても最適です。

筆者も(特に内科研修中に)白衣のポケットに入れっぱなしでした。

感染症診療、とくに抗菌薬の投与量の参照にはサンフォードが鉄板ですが、同書は欧米の体格に合わせた抗菌薬投与量で日本人に合わないという意見もありました。
一方で日本人の体格に合わせた適切な投与量がわかるこの手引きは和製サンフォード(よんフォード)とも俗に言われ、多用されています。

内科医夫婦(妻)

2021年発売の改定第4版では新型コロナウイルス感染症の項も追加されています。

②感染症診療のロジック

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 感染症診療の基本的な考え方(ロジック)を学ぶ
  • 臓器別感染症の診察のポイントがわかる

本書は感染症診療の基本(ロジック)が学べる本です。

著者は大曲典夫先生です。大曲先生の参考書では感染症診療の5つのロジックが出てきます。
実際に私は内科医として初期研修医に指導をするとき、必ずこのロジックをレクチャーしています。

1. 患者背景を理解する
2. どの臓器の感染症?
3. 原因となる微生物は?
4. どの抗菌薬を選択?
5. 適切な経過観察

感染症診療のロジック 大曲典夫 

本書では、研修医と指導医の症例のディスカッションを通して感染症診療のロジックを学ぶことができます。
このロジックは一般化でき、基本的にどのようなケースにも応用できます。

感染症診療を考えるとき、初学者はほぼ必ず4.の抗菌薬にまず目が行ってしまいます。
のこりの要素も抗菌薬選択と同等に重要であることが、本書を読めばわかると思います。
特に、5つめのロジックである”(治療開始後の)適切な経過観察”の重要性がよくわかります。

内科医夫婦(夫)

他所でおすすめとしてレビューされているのをあまり見ませんが、断然おすすめです。

③感染症まるごとこの一冊

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 医療者の感染症予防対策が理解できる
  • 病原微生物について、グラム染色の図も含めて理解できる。

本書は感染症診療の基本が学べる本です。

著者は自治医科大学臨床感染症センターの矢野晴美先生です。
矢野先生の本はのちに紹介する“抗菌薬はじめの一歩”と共にわかりやすさ、読みやすさがピカイチです。

本書は感染症診療に関して広く浅く理解できる入門書という位置づけです。
感染対策(医療従事者のワクチン接種、針刺しの対応、隔離予防策)、臨床の基本(身体所見のとり方、カルテの記載、プレゼンテーション)から始まり、病原微生物、抗菌薬、一般的な感染症(肺炎、尿路感染、皮膚感染症等)の対応 が書かれています。

本書は感染症診療の中でも感染症診療の導入部分である医療者の感染対策病原微生物に関する記載が充実している印象です。


その他、カラー版であり、細菌のグラム染色の所見がたくさん載っています。グラム染色の所見だけでなく、手掌の感染性塞栓(septic emboli)などの身体所見も載っています。

内科医夫婦(妻)

巻末にチャレンジクイズが載っていて知識の確認ができます。

そのほか日本や米国ワクチン接種のスケジュールが載っていますが、少し古いかもしれません(2010年時点のデータ)。

④抗菌薬はじめの一歩

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 各抗菌薬の特徴がわかる

本書は抗菌薬の基本が学べる本です。著者は感染症まるごと この一冊と同じく矢野晴美先生です。

本書は先に紹介したの類書ではありますが、抗菌薬に焦点を当てている点が特長です。

臨床が始まったばかりだと、抗菌薬の種類が多く理解するのが難しいです。
最初にこの本で各抗菌薬の特徴をつかむのがよいでしょう。

内科医夫婦(夫)

抗菌薬の種類ごとに、症例ベースの演習問題が載っており、知識の整理ができます。

⑤できる! 見える! 活かす! グラム染色からの感染症診断

この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 病原微生物について、グラム染色の図も含めて理解できる。

本書はグラム染色の臨床での活用方法を解説した本です。

琉球大学大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科) 藤田次郎先生、田里大輔先生です。

本書はグラム染色について、

  • 検体採取、取り扱い
  • 原理
  • 実際の染色
  • 観察手順
  • グラム染色による起因菌分類

が書いてあり、臨床で活用できるようになります。

喀痰や尿のグラム染色は侵襲が少なく数分でできるほど簡便な割に、情報量が多い非常に有用な検査です。

本書の後半部分ではグラム染色の実際の症例での使い方も症例ベースで書いてあります。

グラム染色に親しみを持つ方法としては、病院によっては救急外来でグラム染色ができたりするので設備を確認してみましょう。そのほか、臨床検査室(細菌検査室)に足を運び、検査技師さんと仲良くなるのもおすすめです。彼らはとてもやさしく、グラム染色の細菌の所見を教えてくれます(仕事の邪魔にならないよう注意)。

内科医夫婦(夫)

実際の染色で使用する染色液やスライドガラスの使い方が写真付きで書いてあるのですぐ実践できます

⑥感染症プラチナマニュアル

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 感染症診療の基本がポケットサイズで参照できる

本書は感染症診療の基本が学べるポケットサイズの本です。

本書は埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科教授・診療部長の岡秀昭先生です。

毎年改定され最新情報が載っており、ポケットサイズのマニュアルと銘打ちつつ500ページのボリュームであり、初期研修をこの一冊で乗りきることができ、どの科に進む先生にもお勧めです。
内容は深すぎず、臨床で必要な知識を厳選している印象です。

そのほか、初学者にもわかりやすく書かれているので、医師以外のメディカルスタッフにもお勧めです。

大判になっている グランデ もあります。もとのポケット版が字が小さいので、字が小さくて読みづらいという方はグランデ版がよいでしょう。

内科医夫婦(夫)

初期研修中に感染症の勉強はしたいけれど、なるべく一冊だけで乗り切りたいという方にはおすすめです。

⑦抗菌薬の考え方,使い方

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 抗菌薬の特徴や感染症治療の歴史的背景がわかる
  • 抗ウイルス薬、抗結核薬、抗真菌薬の各薬剤の特徴がわかる

本書は抗菌薬診療が基本が学べるポケットサイズの本です。

著者は神戸大学医学部附属病院の岩田健太郎先生です。

抗菌薬ごとの解説がとてもしっかりしていて、単に治療スペクトラムだけではなく、薬理作用や海外での使用についてなどの理解が深まります。

細菌に対する抗菌薬だけでなく、抗ウイルス薬、抗結核薬、抗真菌薬の解説も充実している点が他の感染症の本と大きく異なる点かとも思います。

内科医夫婦(妻)

2021年改定のver.5ではコロナに関する記載も追加されています。

ページ数が多く非常に読みごたえがありますが、岩田先生の語り口調がとても読みやすく、ページ数のわりにあっというまに読めてしまう印象です。

抗HIV治療薬についての本もあり、こちらも面白い本です。
HIVを診る機会は少ないかもしれませんが、興味があればぜひ。

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⑧レジデントのための感染症診療マニュアル

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 感染症診療で疑問に思ったことの答えが載っている

本書は感染症診療の辞書的な位置づけの本です。(古い版の本書が病棟には一冊は置いてあるようなイメージです)

著者・編集は青木眞先生で、そのほかの感染症専門医の先生方が多数分担執筆されています。

本書は感染症診療のあらゆる事項が載っているので、辞書的な使い方、調べものに最適です。ただし記載自体は辞書的というよりは、感染症診療の考え方に沿った記述なので特別読みにくいということはありません。

各論に関して通読するのは大変な分量ですが、第一章の感染症診療の基本原則だけでも読んでおくと感染症診療の考え方が身についておすすめです。

内科医夫婦(妻)

2020年改定の4版でコロナの記載も追加されました。

⑨感染症非専門医・薬剤師のための 感染症コンサルテーション

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 感染症診療コンサルチームの役割がわかる
  • 感染症の難治例に対する対応がわかる

本書は感染症コンサルトの基本が学べる本です。

本書はもともとは、筆者の岸田直樹先生によると薬剤師さんに感染症診療のチームに参画してほしいという思いを持って書かれたものだそうですが、実際にはそれだけでなく総合診療医や初期研修医などの感染症非専門医の医師が実際の症例やコンサルテーションへの対応に役立つ本になっています。

仮想症例19例に対して、感染症コンサルチームの目線から、治療の考え方、患者情報、検査結果の解釈、抗菌薬の選択、経過観察がかかれ、コンサルチームの返答例(カルテ記載)を具体的に示しています。

大学病院など規模の大きい病院では感染症コンサルチームがあって相談できる環境があるかもしれませんが、一般的な市中病院ではあまり一般的ではありません。そういった施設で、感染症非専門医が感染症の難治例に対してどう対応すればよいかを学ぶのに本書が役立ちます。

  • 細菌ごとの血液培養陽性の解釈
  • 感染症ごとの治療効果を示すメルクマール

が載っており、臨床に即役立ちます。

⑩その抗菌薬は不要です

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この本でわかるようになること、この本のメリット

  • 抗菌薬の適正使用がわかる

本書は抗菌薬の適正使用という観点で書かれた感染症の本です。

編集は 佐賀大学医学部附属病院 感染制御部長 青木洋介先生です。

抗菌薬や病原微生物の各論はメインで書かれておらず、抗菌薬の適正使用について書かれています。

抗菌薬を処方することを決定すること、 治療効果を判定することといった医師の臨床判断の助けとなる本です。

日常診療をしていき抗生剤や病原微生物の知識がある程度ついてきたところで、一度自分の感染症診療を見直す良いきっかけとなる本です。

特徴的なのは

  • 非感染性の発熱の鑑別
  • 抗菌薬が効かないときの対応

あたりが載っているところです。

まとめ

今回は10冊の医学書を紹介しました

  1. 感染症診療の手引き・・・白衣のポケットに
  2. 感染症診療のロジック・・・感染症診療に関わる全員に読んでほしい
  3. 感染症まるごとこの一冊・・・
  4. 絶対わかる抗菌薬はじめの一歩・・・抗菌薬に特化した初学者向けの本
  5. できる! 見える! 活かす! グラム染色からの感染症診断
  6. 感染症プラチナマニュアル・・・感染症診療の辞書的位置づけ、調べものに役立つ
  7. 抗菌薬の考え方,使い方・・・各抗菌薬(真菌薬、結核薬、ウイルス薬含む)の特徴が詳しくわかる
  8. レジデントのための感染症診療マニュアル・・・感染症診療の辞書的な位置づけ
  9. 感染症非専門医・薬剤師のための感染症コンサルテーション・・・感染症専門医がコンサルトされたときの思考がわかる
  10. その抗菌薬はいりません・・・抗菌薬の適正使用を学ぶ
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この記事を書いた人

初期研修医や内科診療に携わる若手医師、医療従事者への日々の診療・生活の手助けになるような発信をします。
・医学書レビュー
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・医師のライフハック
・医師夫婦の育児

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