【初期研修医・内科医】糖尿病・内分泌内科のおすすめ参考書6冊

【初期研修医・内科医】糖尿病・内分泌内科のおすすめ参考書6冊

この記事では初期研修医や内科医におすすめの糖尿病・内分泌内科の参考書を6冊紹介します。

これは、200冊超の医学書を自宅に保有する内科医夫婦(血液専門医・リウマチ専門医)によるレビューです。
2人とも市中病院・大学病院で初期研修・後期研修を経験し、現在も研修医指導をしています。
若手医師がどんな疑問点を持って臨床をしているか、それを解決する本はどれかを理解したつもりで書きました。
不明点などあれば遠慮なくご連絡ください。よろしくお願いします。

目次

この記事で紹介する6冊

この記事で紹介するのは下記の6冊です。

  • ①②は糖尿病・内分泌の両方
  • ③④⑤は糖尿病
  • ⑥は内分泌(甲状腺)

の本になります。

  1. レジデントのための糖尿病・代謝・内分泌内科ポケットブック
  2. 非専門医による甲状腺疾患・糖尿病外来診療の実際
  3. ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック
  4. 糖尿病診療秘伝ポケットガイド
  5. むかしの頭で診ていませんか?糖尿病診療をスッキリまとめました
  6. やさしく解説甲状腺疾患の診断と治療

①レジデントのための糖尿病・代謝・内分泌内科ポケットブック

本書は筆者が研修医の糖尿病内分泌内科をローテートした際に最も使った本です。
糖尿病、代謝、内分泌の広い領域がポケットサイズながら網羅されています。
特に大学病院などで内分泌疾患の症例を担当する時に、内分泌疾患に関する詳しい参考書は少ないです。
原発性アルドステロン症疑いに対する負荷試験の勉強に役立ちました。

そのほか、救急対応、電解質異常(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン)が書かれているのこともあり、内科救急に携わる医師におすすめです。救急対応には、高血糖、低血糖だけでなく、高血圧緊急症や甲状腺クリーぜ、痛風発作も書いてあり、一般内科で対応する可能性のある糖尿病代謝内分泌疾患が網羅されています。

内科医夫婦(夫)

初期研修が終わり、後期研修に進んだ後も参照しています。

②非専門医による甲状腺疾患・糖尿病外来診療の実際

本書は内科医として開業されている先生(糖尿病内分泌の専門医でない)による本です。
外来での糖尿病や甲状腺疾患のフォローがわかるので、

  • 新しく外来をする(あるいはする予定の)糖尿病内分泌の専攻医の先生
  • 一般内科外来の非常勤勤務がある糖尿病内分泌の非専門の若手の先生
  • 開業を検討している先生

に特におすすめです。

仮想症例の血糖値やHbA1cの推移も提示し、具体的にどう言った対応までを非専門医で行っているかが詳しく書いてあります。

糖尿病は患者数からして一般内科医、開業医である程度のレベルまで診療できるのが望ましく、そう言った点から本書は非専門医の糖尿病診療の一つの指標となる本です。

また、一般内科医が書いた糖尿病の本はあるかもしれませんが、特に甲状腺に関する非専門医による参考書は珍しいです。もちろん各項目ごとに、専門医の先生のコメントもついています。


一般内科外来をしていると、甲状腺機能異常疑いの患者さんは意外と多く、どういった時に専門医へ紹介すべきか迷う症例もあります。本書を読めば紹介のタイミングが分かります。
また、内分泌専門医が不在であったり、医療アクセスが制限された状況においては一般内科医レベルでここまで甲状腺疾患を診ることもできるのかという気づきも得られました。

たとえば、本書の著者の伊賀先生は、全身症状の強くないバセドウ病患者であれば、本人が希望すればご自身(非専門医)でMMIによる治療を開始することもあるとのことでした。

③ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック

本書は「毎日の診療ですぐに役立つ実践的なハンドブック」をコンセプトに書かれた糖尿病診療の参考書です。

主な読者対象としては
糖尿病を専門とされない開業医や内科外来の担当医 
を想定しているようですが、わかりやすい具体的な内容であり、頻繁に改定されていることもあり、
初期研修医
糖尿病内科の専攻医
糖尿病療養指導士などのメディカルスタッフ
にも適しています。

初診時の検査の進め方や薬物療法の実際、糖尿病合併症の対応、地域医療連携、チーム医療の実践などまで糖尿病診療の基本はこの一冊で網羅されているので、迷ったらこの一冊かなと思います。

そのほか、周術期の血糖管理や妊娠糖尿病、糖尿病と漢方など他領域と関連した内容が充実しています。
内科医以外にも糖尿病専門医がいない地域で働く外科系の先生が本書を持っているのを見たことがあります。

第4版は2019年発行です

④糖尿病診療秘伝ポケットガイド

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本書は糖尿病診療がポケットサイズで学べる本です。
患者さんへの指導方法も明記されている点が特長になります。
外来、病棟編があり、

外来編では、
インスリン、血糖降下薬など薬剤による治療方針だけでなく、糖尿病患者教育、療養指導、感染症指導といった指導の具体的なプログラムが書かれています。

病棟編では
血糖コントロールの方法はもちろん、治療目標カードの作成例といった患者の指導方法がわかります。
そのほか、周術期の血糖コントロールの対応方法も書かれており、専門医が不在の病院での非専門医での管理の助けになりそうです。

ポケットサイズでも初学者に十分な内容です。
あくまで糖尿病患者の診療のためのガイドなので内分泌疾患の記載はなく、脂質異常症、高血圧に関しては糖尿病の合併症としての対応のみ書かれています。

⑤むかしの頭で診ていませんか?糖尿病診療をスッキリまとめました

本書はむかしの頭で診ていませんか?シリーズの糖尿病版です。
本シリーズにを教科書的に・網羅的に記載するのではなく、実臨床での疑問点について、分野毎の専門の先生方がまとめてくれています。

  • 血糖降下薬を種類ごとの特徴、
  • 糖尿病の運動指導の実際(どんな運動が良いか?)
  • 高齢・認知症の糖尿病患者への対応

など、臨床で疑問になりやすい点をうまくまとめている印象です。

初学者でもわかりやすい解説ではありますが、初期・後期研修で一度糖尿病診療を経験した後に自分で疑問点を挙げたうえで本書を読むとさらに理解が深まりそうです。

内科医夫婦(夫)

各項目(全33項目)ごとに読み切りになっているので隙間時間に読みやすい

⑥やさしく解説甲状腺疾患の診断と治療

本書は甲状腺疾患の臨床を内分泌学の初学者のために解説した本です。

一般内科外来ではしばしば遭遇する甲状腺機能異常疑いの患者さんのどういった時に専門医へ紹介すべきか迷う症例もあります。本書を読めば紹介のタイミングが分かります。

前半は
甲状腺の診察方法、
甲状腺関連の採血(TSH,FT3,FT4,各抗体)の踏み込んだ解釈方法

後半は
症候ごと(甲状腺の中毒症状、機能低下、疼痛、結節)の対応
治療の実際(バセドウ病、橋本病、無痛性甲状腺炎)
専門医が対応すべき難治例の対応、他科との連携

といった感じで盛りだくさんの内容です。

筆者は内分泌専門ではありませんが、甲状腺クリーゼは内科救急疾患としてメジャーでもあるはずなので、初期対応や専門医へのつなぎ方を知っておいた方がいいかなと思い、本書を買って勉強してみました。

研修医の先生全員に勧められるかどうかは悩ましいですが、
特に内科志望であったり、内分泌内科、内科救急、総合内科に興味のある先生にはぜひおすすめしたいです。

内科医夫婦(夫)

糖尿病内分泌科の専攻医の先生がみんなカバンに入れてるようなイメージで、専門医への入り口的な本なのかと思っています。

記事のまとめ

今回は6冊の医学書を紹介しました

  1. レジデントのための糖尿病・代謝・内分泌内科ポケットブック・・・研修医必携
  2. 非専門医による甲状腺疾患・糖尿病外来診療の実際・・・内科外来で役立つ!
  3. ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック・・・糖尿病の病棟・外来研修に、最新の薬剤も掲載
  4. 糖尿病診療秘伝ポケットガイド・・・ポケットサイズで糖尿病の指導方法の実際がわかる
  5. むかしの頭で診ていませんか?糖尿病診療をスッキリまとめました・・・各専門分野のエキスパートが最新のエビデンス含めて紹介
  6. やさしく解説甲状腺疾患の診断と治療・・・意外と多い甲状腺疾患をしっかり学べる
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この記事を書いた人

初期研修医や内科診療に携わる若手医師、医療従事者への日々の診療・生活の手助けになるような発信をします。
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