この記事では医学生・初期研修医1年目向けに、採血、中心静脈穿刺、腰椎穿刺などの手技を行う際に参考になるにおすすめ参考書を3冊紹介します。
研修医になったらまずは手技を身につけたいという方は多いと思います。どの手技も実際に数をこなすことが大事ではあるものの、なにより大事なのは”ものの準備や手順を把握しておくことです。”準備が9割”、と普段の研修医指導でも伝えています。
どうしても、早く穿刺や挿管など侵襲的な手技に飛びつきたいのですが、手順を始めてから”物品が足りない”となると、成功率は格段に下がります。
そういった視点で、準備ができることの助けになる本を紹介していきます。
この記事で紹介する3冊
この記事で紹介するのは下記の3冊です。
- 診察と手技がみえる(vol.2)
- ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson
- 研修医になったら必ずこの手技を身につけてください
①診察と手技がみえる(vol.2)
この本の役立つ場面
- あらゆる手技を行う前に
この本でわかるようになること
- 手技の物品ごとの写真があり準備がわかる
本書は医療現場での重要な手技が豊富な写真、イラストを使って丁寧にまとまっている本です。
“病気がみえるシリーズ“でおなじみのmedic mediaが出版しており、vol. 1が医学生のOSCE対策であるのに対して、本書は初期研修医が初めて手技を行う前に読むことが想定されている印象です。
下記のような内容になっています。
- 採血(動脈採血含め)
- 注射(筋肉注射、局所麻酔含め)
- 血管確保(中心静脈路、動脈路含め)
- 穿刺・チューブ挿入(胸腔穿刺、腹腔穿刺、腰椎穿刺、骨髄穿刺、関節穿刺、経鼻胃管、尿道カテーテル)
- 外科基本手技(縫合結紮、切開排膿)
- 救急蘇生法(BLS,ACLS)
- 医療記録(診療録、診断書、検案書)
骨髄穿刺、関節腔穿刺も載っています
簡単ではありますが、いわゆる手技以外にもBLS,ACLS,カルテの書き方などの研修医に必要な知識が載っています。
病気がみえると同じようなテイストで書かれているため、医学生が予習として読んでも読みやすそうですし、看護師さんが手技の介助の前に読む、という使い方もできます。
②ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson
この本の役立つ場面
- 手技に初めてつくとき
この本でわかるようになること
- はじめてなんらかの手技を行うときの物品の準備がわかる
- 実際の処置の手順、介助のコツがわかる
本書はもともとナース専科という雑誌に連載されていたものであり看護師さん向けに書かれているようですが、初期研修医にも役立ちます。
看護師さん目線で物品準備や介助の仕方が書かれていますが、まずは準備、介助ができなければ適切な手技手順を踏めないためです。
イラスト中心で読みやすい、とっつきやすいのがおすすめ
写真はないものの、使用する物品の特徴を押さえたイラストでわかりやすいです
③研修医になったら必ずこの手技を身につけてください
この本の役立つ場面
- 始めて侵襲的処置を行うとき
- 後期研修医以降の医師が久々に手技を行うとき
この本でわかるようになること
- 研修医に必要な手技の手順、初学者が注意すべきポイントがわかる
- 救急でのエコーの使い方がわかる
- 鎮静の基本が学べる
本書は単に手技の写真や手順だけではなく、手技ごとによくあるトラブルと解決方法が書いてあるのがポイントです。
例えば、中心動脈穿刺の場合、
- 動脈穿刺してしまった
- ガイドワイヤーが進まない
- ダイレーターが進まない
- 不整脈が出た
等々のトラブルの解決方法が書いてあります。
また、研修医にどんな手技が求められるかという到達目標を示してくれます。
人数の少ない研修病院や地方の研修病院では研修医でどれだけできていればよいのかわからないという問題があり、本書はそれを解決してくれます。
- 1章 注射採血穿刺
- 2章 気道管理
- 3章 鎮静
- 4章 救急
という構成で、3章では手技というよりは鎮静のポイントが書いてあったり、4章では救急診療の考え方が書いてあったりと単に手技の本にとどまらないという印象です。
2017年に発売され、私は研修医のときにはなかったのですが、2章や4章が当直で救急を診るときなどにとても役立つので買いました。
とくに2章では外科的気道確保として輪状甲状穿刺・切開という内科医が普段沢山はやらないけれどもできなければいけない手技もあり、研修修了後も久々にやることになったときに役立っています。
記事のまとめ
今回は3冊の医学書を紹介しました
- 診察と手技がみえる(vol.2)・・・豊富な写真、学生実習のころから使える
- ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson ・・・準備の大切さがわかる
- 研修医になったら必ずこの手技を身につけてください・・・研修医でどこまでできたらいいかがわかる
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