この記事では初期研修医が小児科をローテーションする際に役立つ参考書を4冊紹介します。
この記事で紹介する4冊
この記事で紹介するのは下記の4冊です。
初期研修医での小児科のローテーションのメインは小児科外来と考えられます。
そこで今回は初期研修中に小児科外来で役立つ参考書を4冊紹介します。
病棟を診る機会もあるとは思いますが、小児科病棟の参考書を持っていないため割愛します。
- HAPPY! こどものみかた
- 帰してはいけない小児外来患者
- 徴候から見抜け! 小児救急疾患 押さえておきたい各徴候の病態と対応スキル
- 小児のギモンとエビデンス
①HAPPY! こどものみかた
本書は小児科における診療のポイントを小児科医の思考過程に沿って理解できるおすすめの本です。
- 小児科のローテーション前に小児科診療の姿勢を学ぶために
- 後期研修後に小児も診ることがあるクリニックでの外来診察のおともに
使えそうな本です。
本書の序盤部分の総論では小児科診療全体の注意点や臨床推論、身体所見、病歴のとり方、カルテの書き方まで、小児科の診療を始める前のエッセンスが詰まっています。
読む量が多いですが、総論だけでも通読しておくと小児科診療がよくわかると思います。
本書の特徴は、小児の夜間の外来と昼の外来での違いを意識した構成になっているところです。
小児に多い症状を「夜にどうする?」と「昼の症候学」とに分けて解説され、さらに鑑別疾患については「臓器別アプローチ」として掲載されています。
習熟度別(初学者、中級者、上級者)の推論フローチャートがあるので自分の習熟度に合わせた思考過程を実践できます。
夜にどうする?では、項目ごとに見逃してはいけない疾患、コモンな疾患、治療可能な稀な疾患と分けてあります。
載っている鑑別やそれぞれの疾患のエビデンスなど、通して読むのが大変だと思いましたが、そのぶん小児科の先生方の考え方がよくわかり参考になりました。
巻末に身体計測の基準値や発達確認表が載っており小児の正常な成長発達がすぐにわかります。
②帰してはいけない小児外来患者
本書は小児の見逃してはいけない疾患が学べる本です。
2部構成になっており、第1章では、見落とすことなく診断に至る思考過程が概説されています。
・主訴を丁寧に聞く
・診察室を去る前に、他に気になることはないか尋ねる(ドアノブクエスチョンと言われる)
など、小児の緊急度の高い疾患を見逃さないための、診察全般のポイントがわかります。
見逃してはならない小児疾患のmnemonic(ごろ合わせ)が書いてあります。
第2章では,症例を通して重篤な疾患の診断経過が症例ベースで45例示され、その中で教訓(clinical pearl)が学べるようになっています。
特徴的なのは、症例ごとに初期診断(よくしがちな誤診)が書いてあることで、現場の診断過程がよく伝わってくるところです。
2018年に続編がでており、初版とは異なる症例を掲載しているので合わせて読むのがよさそうです。
③徴候から見抜け! 小児救急疾患 押さえておきたい各徴候の病態と対応スキル
本書は小児で遭遇する症候ごとに対応方法を解説している本です。
- 小児救急の初期対応
- 専門医へ紹介すべきサイン
がコンパクトにまとめられている点がおすすめポイントです。
他書ではあまり扱っていない
- 紫斑、出血傾向に対する検査、アセスメント
- 検尿異常での腎臓専門施設への紹介基準
など各論的な記載が充実しています。
そのほか、頭痛薬や抗痙攣薬などの体重毎の処方例も載っていて現場で使いやすいです。
小児救急に携わる方に特におすすめです。
④小児のギモンとエビデンス
本書は小児科で疑問のアトピー性皮膚炎や蕁麻疹、食物アレルギーなど、子供を持つ親が疑問に思う点を、エビデンスベースで解説してくれる本です。
疑問に対する根拠となる臨床研究が明示されており、小児科医が患者さんやご家族に説明する際に役立ちます。
通読しやすく、4時間程度で読めます。
食物アレルギーの予防などは自宅でできることも多く、子育てにも役立っています。
記事のまとめ
今回は4冊の医学書を紹介しました。
- HAPPY! こどものみかた・・・小児の診察の心構えがわかる
- 帰してはいけない小児外来患者・・・小児の危険な疾患の診療経過がわかる
- 徴候から見抜け! 小児救急疾患 押さえておきたい各徴候の病態と対応スキル・・・小児救急の各論的な理解が深まる
- 小児のギモンとエビデンス・・・アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど、親が疑問に持つところを解決してくれる
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