この記事では初期研修医や内科専攻医におすすめの神経内科の参考書を5冊紹介します。
この記事で紹介する5冊
この記事で紹介するのは下記の5冊です。
- 神経症状の診かた・考えかた
- 結局現場でどうする? Dr.増井の神経救急セミナー
- 極論で語る神経内科
- めまい診療シンプルアプローチ
- みんなの脳神経内科
①神経症状の診かた・考えかた
本書は主に症候別に神経内科の臨床を解説した本です。
亀田メディカルセンター神経内科部長の福武敏夫先生です。
本書は筆者の先生が一人ですべて一貫した神経学の診かたを提示してくれていて、実際の筆者の先生の経験が具体的に書かれているのがポイントです。
症候別の章では頭痛、めまい、痺れ、ふるえ、脊髄症状、パーキンソン病、認知症、精神症状、高次脳機能障害、心因性と間違われやすい症状、奇妙な症状(頭に霞がかかっているなど)といった症候別の診察のポイントが書かれています。
症状や疾患に対して、考慮すべき大切なポイント(訴えの内容や年齢などの患者背景)が示されている点が本書がおすすめできる点です。
緊急処置が必要な症候については独立した章で、痙攣、意識障害、急性球麻痺、急性四肢麻痺、脳梗塞などの解説がされています。
その他、神経診察と、神経内科では重要な中枢画像診断について書かれています。
パーキンソン病以外の神経変性疾患は大学病院など限られたでないとみる機会は少ないため記載はすくないですが、少なくとも初期研修レベルではまずは上記の症候が理解できていれば問題なさそうです。
②結局現場でどうする? Dr.増井の神経救急セミナー
本書は頭部画像診断を含めた、神経救急で役立つ知識が得られる本です。
著者は骨折ハンター,心電図ハンターなどの著書でも知られる札幌東徳洲会病院救急科の増井伸高先生です。
神経救急の内容なので、神経内科医の担当する領域ではない、脳外科領域の疾患(脳出血)なども載っています。
実際に初期研修で神経内科をローテートしてみると、もともとの自分のイメージより神経内科は救急対応をする機会が多かったです。
本書を読むと、めまいの救急対応、頭部外傷への対応(成人・小児)、脳卒中の画像診断、脳出血の手術適応、脳梗塞の血管内治療の適応、NIHSSのスマートなとり方 がわかります。
特に脳卒中領域に関しては、救急でのファーストタッチの方法、日本における脳梗塞への点滴治療(アルガトロバン、オザクレルNaの使い分け等)の実践などがわかります。
初期研修修了後に本書が役立ったタイミングとしては、神経内科医が院内に不在の時の内科当直で、脳梗塞の初期治療(保存治療)をするときなどが挙げられます。
電子版、連動動画付きです。
③極論で語る神経内科
本書は極論で語るシリーズの神経内科バージョンです。著者はアメリカでの臨床経験もある、河合真先生です。
極論で語るシリーズはイラストが多く通読しやすいため個人的にも好きでほかの領域のものもだいたい持っています。
最新の知見が盛り込まれつつ、臨床神経学のエッセンスが凝縮されています。
教科書的な知識と、実際の臨床での決断との間を埋めるように、読みやすい語り口調で描かれています。
seizureとepilepsyの区別をしっかりすること、ということのような基本的だけどつまづきやすいポイントをおさえてあります。
また、神経変性疾患(ALSなど)に関するコラムが印象的で面白く読み進められ、通読しやすいです。
④めまい診療シンプルアプローチ
本書はめまいという症候のみに焦点を当てて鑑別や対応を解説してくれる本です。
著者は横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの城倉健先生です。
めまいという訴えの頻度は多く、鑑別で考えることも多いです。
救急外来で経験があるかもしれませんが、めまいが主訴で来院された患者さんは、実際は中枢の代償機構のために良くなったように見えるだけなのですが、自然軽快あるいはメイロンの投与で改善したように見えることがあります。
そのため結局原因がわからないまま経過観察・帰宅し、重大な疾患(中枢性めまい)を見落とす恐れがあります。
本書ではめまいの鑑別で迷わないための鑑別のシンプルな鑑別法(フローチャート)が載っています。
これを参考にすれば、めまいという症候が怖くなくなるでしょう。
神経内科的には中枢性めまいの訴えの特徴と対応する画像所見、眼振に関する理解が深まります。
神経内科とは離れますが、他書ではなかなか学べない末梢性めまいの診察方法も分かります。
表紙がめまいをもよおしそうなのでちょっと注意です。
⑤みんなの脳神経内科
本書は2022年に出版された比較的新しい参考書です。
著者は湘南鎌倉総合病院 脳神経内科の山本大介先生です。
内容としては脳梗塞、パーキンソン病、認知症、偏頭痛、せん妄など市中病院で診療することの多い疾患に焦点を当てています。
神経内科の参考書はどれも難しい印象ですが、本書は非常に平易な説明で書いてあり、初期研修医や非専門医でも理解でき、かつ2-3時間で通読できます。
- 初期研修医が神経内科ローテーション開始時に読んだり
- 非専門医が久々に神経内科領域を復習するときに読んだり
するのがおすすめです。
初期研修医に特におすすめな点として、頭部MRI画像の適切なプレゼンテーション例が載っている点です。
一方、内科外来をする医師に特に役立つのが、偏頭痛の発作・予防の治療薬の処方例が示されている点です。
初期研修医や非専門医レベルではまれな変性疾患に関する知識より、脳梗塞や認知症の診療の実際がわかったほうがよいと思います。
記事のまとめ
今回は5冊の医学書を紹介しました。
- 神経症状の診かた・考えかた・・・神経診察含めて臨床神経学全般が学べる
- 結局現場でどうする? Dr.増井の神経救急セミナー・・・頭部画像の診かたがわかる
- 極論で語る神経内科・・・脳梗塞などスピード感ある神経内科の治療がクリアカットにわかる
- めまい診療シンプルアプローチ・・・めまいというcommonな症候の理解が深まる
- みんなの脳神経内科・・・市中病院で経験する神経内科診療が一通り学べる
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