この記事では医学生・初期研修医1年目向けに、初期研修医の始めたてにおすすめの参考書を5冊紹介します。
この記事で紹介する5冊
この記事で紹介するのは下記の5冊です。
- 「型」が身につくカルテの書き方
- 身体診察免許皆伝
- よく出会う18症例で学ぶプレゼンテーションの具体的なポイント
- 研修医になる前に読んでください
- デキレジ、ヤバレジ、チーレジシリーズ
①「型」が身につくカルテの書き方
この本の役立つ場面
- 担当患者を受け持ち始めてカルテを書くとき
この本でわかるようになること
- カルテの書き方の”型”
本書はカルテの書き方を”型”を習得できる本です。
著者は、内科医の佐藤健太先生です。
カルテの書き方は医師の必須スキルですが、誰かに教えてもらうことはなく、たいていは最初についた指導医の先生の書き方をまねてみる研修医が多いと思います。しかし、カルテの書き方は人それぞれでクセもあるため、指導医次第になってきます。
そこでこの本ではカルテの正しい書き方を基本の型(プロブレムごとの記載、SOAPごとの記載)と応用の型(救急外来用、外来診療用など)を紹介してくれています。
なんとなくSOAPのOの欄に採血データを貼っているカルテをよくみますが、本書では
全ての情報の転記は不要・無駄。診断や治療方針を変え得る「意味のある情報」に絞る。
「型」が身につくカルテの書き方
という考えのもと本当に必要なことだけをコンパクトにまとめる”型”を紹介しています。
カルテの型を習得することで、なにが患者さんの診療にとって重要かがわかるので、患者の身体所見や検査データから得る情報収集の力や臨床推論の能力が格段に上がります。
研修医の最初の頃に読み、今でもこの本どおりにカルテを書いています。
それくらいずっと使える本です。
出版は医学書院ですが、個人的に医学書院の本は薄くて通読しやすく気に入っています。
②身体診察免許皆伝
この本の役立つ場面
- 担当患者の身体診察をするとき
この本でわかるようになること
- 身体診察の注意点がわかる
- 疑った疾患毎など、目的別に身体所見を取りに行く方法がわかる
本書は身体診察の基本を多くのイラスト、写真、ミニコラムとともに解説した本です。
編集は、平島修先生・志水太郎先生・和足孝之先生です。
本書では臨床に出るとよく診るけど典型例がよくわからないような身体所見(例えばインフルエンザ感染でみられる咽頭後壁のリンパ濾胞)が写真付きで解説されています。
身体所見の取り方について、いわゆる臓器別だけでなく、目的別(心原性ショックの際の身体所見、など)に書かれています。身体所見は最初のうちは何らかの所見を疑って取らないと典型例しか拾うことが難しいです。目的別に書かれることで、どの所見と取りに行くか、という目的が明確になるため身体所見をとるのが上達しやすくなるでしょう。
学生実習でも身体所見をとる練習の機会は多く、医学生のころから読むのもおすすめです。
③よく出会う18症例で学ぶプレゼンテーションの具体的なポイント
この本の役立つ場面
- 院内のカンファレンスでプレゼンするのが初めて、あるいは苦手の先生
この本でわかるようになること
- 各疾患の重要なプレゼンポイントが分かる
本書は各疾患の重要なプレゼンポイントが分かる本です。
著者は、天理よろづ相談所病院レジデントの先生方です。
プレゼンテーションは初期研修医に求められる必須スキルの一つですが、なかなか体系的に学ぶ機会は少なく、類書があまりないなか、本書では症例ごとにプレゼンに必要な要素を実際のプレゼンのように対話形式でまとめてくれています。
症例の臨床的な重要ポイントも載っており、今受け持っている患者さんと同じ症例があったらその疾患の理解も深まるでしょう。
初期研修のはやめに読んでおくことをおすすめします。
特に役立ったのはショートプレゼンの例が載っていたことです。
④研修医になったら読んでください
この本の役立つ場面
- 研修医になった時に必要な知識や心構えを知りたいとき
この本でわかるようになること
- 研修医になった時に何を勉強すればいいかわかる
本書はタイトル通り、研修医になる前(もしくはなってすぐ)におすすめの本です。
著者は、岸本暢将先生、岡田正人先生、徳田安春先生で、研修医教育の領域でご高名な内科系の先生方です。
研修医になった時の心構え、論文の参照の仕方、外来診察、基本手技、院内及び院外でのプレゼンテーションの仕方がわかります。
著者はアメリカでのレジデント経験のある先生であり、アメリカ留学時の経験に基づいた記載がところどころされています。
内容のカバー範囲が広いため、一つ一つの内容は専門書で学ぶ必要があることもありますが、始める前にどんなことを知っておけばいいかを知るには最適な本でした。
⑤デキレジ、ヤバレジ、チーレジシリーズ
この本の役立つ場面
- 担当症例の疾患、病態についてまず勉強するとき
この本でわかるようになること
- 症候や疾患毎に研修医に必要な知識がわかる
本書は研修医がよく出会う疾患、症候やプロブレムごとにデキレジ、ヤバレジ、チーレジの対話形式で解説される本です。
著者は、聖路加国際病院のレジデントの先生方(執筆当時4-6年目とのこと)です。
デキレジstep1,step2、ヤバレジstep1,step2、チーレジstep1,step2の計6冊が出版されています。
題材が研修医がよく出会う疾患、症候やプロブレムを選択しており、例えば
- 発熱時の対応(fever workup)
- 酸塩基平衡
- 意識障害
- 不眠時対策入門
- 低ナトリウム血症の鑑別 …
これらの項目ごとに最低限必要な内容を、研修医に対して症例ベースでわかりやすく解説されています。
本のタイトルはヤバレジですが、ナミレジやデキレジでも参考になることはたくさんあるはずなのでぜひ読んでみてください。
研修医同士の勉強会のネタにも使えそう
記事のまとめ
今回は5冊の医学書を紹介しました
- 「型」が身につくカルテの書き方・・・型通りにカルテを書けば臨床能力もUP
- 身体診察免許皆伝・・・目的別の身体所見を取りに行く方法がわかる
- よく出会う18症例で学ぶプレゼンテーションの具体的なポイント・・・ショートプレゼンの例も載っていて便利
- 研修医になる前に読んでください・・・タイトル通り、研修医になったときの心構えがわかる
- デキレジ、ヤバレジ、チーレジシリーズ・・・ヤバレジ以外も読んでみてください
いずれも通読しやすい本を紹介しました。ぜひ参考にしてください。
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