この記事では初期研修で血液内科をローテーションする研修医向けに、おすすめの参考書を紹介します。
血液内科の初期研修で学ぶこと
・血液内科志望なので専攻医になる前に必ず血液内科を回りたい
・外科志望だけど、血液内科、学生実習で回れなかったから初期研修で回ってみよう
・ほかの内科に進むけれど、joslerのために血液疾患を経験しよう
などの理由で、血液内科をローテート先に希望する研修医の先生がいると思います。
そのほか、J-oslerで使うために専攻医になってから血液内科をローテートする先生もいると思います。
血液内科の初期研修では、
- 内科医としての入院患者の診療
- 免疫不全患者への感染症治療
- 手技(骨髄穿刺/生検、腰椎穿刺/抗がん剤髄注、中心静脈カテーテル留置)
- 血液疾患患者における血算異常に対する管理(輸血療法)
- 抗がん剤の適切な投与および副作用の管理
を学びます。
これらを学ぶにあたり、血液内科医として市中病院・大学病院で研修医を指導してきた筆者がおすすめの参考書を紹介します。
この記事で紹介する3冊
この記事で紹介するのは下記の3冊です。
- 血液病レジデントマニュアル
- レジデントのための血液診療の鉄則
- 誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方
血液病レジデントマニュアル
この本の役立つ場面
- 病棟で困ったとき全般
この本でわかるようになること
- 入院中の患者さんで使用している化学療法のレジメン
- 抗がん剤ごとの副作用
- 血液疾患のリスク分類
本書はポケットサイズのマニュアルで、血液内科病棟での疑問を解決してくれる本です。
著者は、EZR(無料の統計ソフト)を開発するなど多彩な才能をお持ちの神田善伸先生です。
神田先生が書かれただけあって、本書はレジデントマニュアルのシリーズの中でも屈指の完成度であり、
この1冊で1-2か月程度の初期研修ローテーションだけなら事足りてしまう可能性もあるほどです。
研修医がローテートしてきておすすめの本を買います、と言われたらとりあえずこの本を薦めています。
血液内科研修では病棟での入院患者さんの診察がメインです。
そして、その入院患者さんのほとんどは悪性リンパ腫、急性白血病、多発性骨髄腫といった悪性疾患です。
研修医が行う具体的な主な業務は、
- 化学療法による副作用が出ていないかの入念な身体診察
- 日々の採血で輸血の必要性の確認
- カンファでのプレゼン、カルテ記載(リスク分類はよく上級医から問われる)
このあたりの業務全般、痒い所に手が届く本です。
2019年に改訂版がでています。
レジデントのための血液診療の鉄則
この本の役立つ場面
- メジャーな血液疾患の大まかな経過が知りたいとき
- 現在受け持っている入院患者さんがどんな経緯で診断されたか知りたいとき
この本でわかるようになること
- 血液疾患を疑う症候(リンパ節腫大など)が来たときにどんな鑑別を考え、血液内科医としてどう対応するか
- 治療開始後のフォローアップにどんな点に気を付ければよいか
本書のおすすめポイントは、血液疾患の患者さんの診断から治療までの一連の流れが症例ベースで解説されている点です。
短いローテーションの期間では、一人の患者さんの診断から治療までをすべて経験することは難しいです。
本書では経験できない分を補完してくれるでしょう。
診断から治療まですべて自分の科で完結できるのは血液内科の醍醐味の一つです。
誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方
この本の役立つ場面
- 外科の術前の血液検査で血算異常をみつけたとき
- 内科の健診バイトで結果説明の血算異常をみつけたとき
この本でわかるようになること
- 血算異常をみたときの初期対応
- 血液内科医へ相談すべきかの判断
本書は血算異常からどのような疾患や病態が想定されるかを学ぶ本です。
現状の初期研修では病棟管理がメインのところが多く、こうした初期研修修了後の一般外来での血算異常への対応を学ぶ機会が非常に少ないです。
それをカバーするのが本書です。
初期研修ローテーション中は使う機会が少ないとは思いますが、わかりやすくおすすめの一冊です。
記事のまとめ
今回は3冊の医学書を紹介しました。
- 血液病レジデントマニュアル・・・ポケットサイズで持ち運び便利、この一冊で十分かも?
- レジデントのための血液診療の鉄則・・・名著「内科レジデントの鉄則」の血液版。症例ベースで読みやすい
- 誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方・・・初期研修修了後、どの科に行っても役に立つ
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