この記事では初期研修医におすすめの輸液の参考書3冊を紹介します。
この記事で紹介する3冊
この記事で紹介するのは下記の3冊です。
初期研修で学ぶべき内容の重要項目Top3は、
・輸液
・救急
・抗菌薬(感染症)
だと筆者は考えます。
そのうち、輸液関係の参考書は特に内科研修の前や、初期研修の序盤に読んでおくと良いでしょう。
- シチュエーションで学ぶ 輸液レッスン
- 原則から処方の具体例までわかる輸液のコツとポイント
- レジデントのためのこれだけ輸液
①シチュエーションで学ぶ 輸液レッスン
本書は指導医と研修医の対話形式で読みやすさ重視で輸液の解説をしている本です。
- 1章で輸液の基本(体液量の評価、脱水について)
- 2章で酸塩基平衡、電解質の生理学的な内容、利尿剤の使い方等
- 3章で特殊な状態での輸液
といった構成になっています。
個人的に特によく使ったのが3章の心不全や腎不全患者での輸液です。
実際のところ、腎機能が良い症例では腎臓が何とかしてくれてしまうので輸液選択で困ることは少ないのですが、腎機能が悪い時こそ、輸液を考える必要性が増します。そんな時に本書の3章が役立ちました。
私が研修医のころは輸液のこれ、という参考書がなく、色々な参考書を読んでは理解できず、というのを繰り返していました。
そういった中で実臨床ですぐ使えるのがこの本でした。
2022年時点では、今回3つ目に紹介するレジデントのためのこれだけ輸液が輸液の参考書の新定番と思われますが、本書も読みやすさ、とっつきやすさの点からいまだにおすすめです!
②原則から処方の具体例までわかる輸液のコツとポイント
本書はタイトル通り原則から処方の具体例まで輸液が学べる本です。A4サイズで全353ページとボリュームがありで通読は難しいですが、下記の中心静脈栄養(TPN)の項だけでも参照する価値ありと考えます。
初学者向けの輸液の本などの中にはTPNの組み立て方がきちんと書いてある本が少なく、本書で学びました。
高カロリー輸液はキット製品が多数販売されており確かに便利ですが、その功罪として内容があまり理解できないという若い先生が多くなってしまったという印象です。
大体はエルネオパ®️でなんとかなってしまうのですが、特に腎障害時などには自分で組み立てる必要が出てきます。
本書では、TPNの組み立てに必要な微量元素やNPC/N比の知識を学べます。
③レジデントのためのこれだけ輸液
本書は輸液の初学者がまず初めに手にとって読んでもらいたい本です。
著者は佐藤弘明先生です。
佐藤先生は医学生の国試対策のブログ(コウメイ塾)をやられており、学生時代に私も参考にしていました。
本書は私が研修医の頃はなかったのですが、指導していた初期研修医が持っていたため見せてもらい、コウメイ塾の先生が輸液の参考書を書かれた!ということで私の興味を引きました。
実際とてもわかりやすく、研修医の輸液の勉強は確かにこれ一冊で良いかも、と思えました。
初期研修医、初学者がつまづきやすいポイントを非常によく理解しており、それに対する回答が書いてあり、最初に読む輸液の本としておすすめです。
実際輸液を処方することはまだない医学生にもわかりやすく説明してあります。
イラスト以外にも実際に輸液の診療の場面で使用する穿刺針や薬剤のバイアルやの写真が載っており、イメージしやすいです。
自分が研修医の頃に欲しかった!
本書は以下のような特徴があります。
- 初期研修医が遭遇する可能性の高い具体的な症例とその輸液処方を提示している
- 病態生理から輸液の根拠を明示している
- 実際の製剤名、投与速度が書かれている
研修医になると輸液の投与速度を指示しなくてはいけませんが、ちゃんと根拠を考えて指示できる人は少ないでしょう。
本書を読めばそうした研修医になった時の疑問点が解決できます。
参考書の紹介とは離れますが、アマゾンの本のカテゴリ分類が、”血液・輸血内科学”という謎の括りで血液内科の本と輸液の本がまとまっていて、血液内科医の筆者としては気になっています。。
記事のまとめ
今回は3冊の医学書を紹介しました
- シチュエーションで学ぶ 輸液レッスン・・・腎不全、心不全時の輸液処方がわかりやすい
- 原則から処方の具体例までわかる輸液のコツとポイント・・・高カロリー輸液の勉強に
- レジデントのためのこれだけ輸液・・・長らくなかった、輸液の参考書の新定番
- どれか1冊だけで!
- とりあえず初期研修を乗り切るための輸液の知識が欲しい!
というのあれば、レジデントのためのこれだけ輸液があればなんとかなりそうです。
もしさらに勉強したいという先生は、少し難しいですがこちらもおすすめです。
そのほか、腎臓内科の参考書は電解質の理解が深まるため、輸液の学習の参考になります。
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