【初期研修医・内科医】腎臓内科のおすすめ参考書5冊

【初期研修医・内科医】腎臓内科のおすすめ参考書5冊

この記事では初期研修医や専攻医におすすめの腎臓内科の参考書を5冊紹介します。

これは、200冊超の医学書を自宅に保有する内科医夫婦(血液専門医・リウマチ専門医)によるレビューです。
2人とも市中病院・大学病院で初期研修・後期研修を経験し、現在も研修医指導をしています。
若手医師がどんな疑問点を持って臨床をしているか、それを解決する本はどれかを理解したつもりで書きました。
不明点などあれば遠慮なくご連絡ください。よろしくお願いします。

目次

この記事で紹介する5冊

この記事で紹介するのは下記の5冊です。

  1. もう困らない外来・病棟での腎臓のみかた
  2. 極論で語る腎臓内科
  3. レジデントのための腎臓教室
  4. レジデントのための血液透析患者マネジメント
  5. むかしの頭で診ていませんか?腎臓・高血圧診療をスッキリまとめました

①もう困らない外来・病棟での腎臓のみかた

この本の役立つ場面

  • 初期研修で腎臓内科をローテートするとき
  • 初期研修修了後、腎機能の悪い症例を外来や病棟でフォローするとき

この本でわかるようになること

  • 内科外来でどのようなときに腎疾患関連の症候を疑い、どのように対応するかがわかる
  • 内科病棟での電解質異常への対応や輸液療法がわかる

本書は内科医として腎臓関連の疾患、症候への対応を学ぶための本です。

著者は 滋賀医科大学総合内科学講座教授/東近江総合医療センター総合内科部長の杉本俊郎先生 です。

杉本先生は腎臓内科医として勤務後、地域の総合病院での総合内科医として診療されるという経歴をお持ちです。
総合内科医として必要な腎臓領域の知識をまとめるコンセプトでこの本を上梓されています。

タイトルにもある通り外来と病棟の両方のシチュエーションで使えるので、病棟管理メインの初期研修医から、一般内科外来を行うことのある後期研修医(専攻医)まで幅広く活用できます。

外来編では

  • 血管炎症候群をどのようなときに疑うか、どう対応するか
  • 浮腫に対してどう対応するか
  • 検尿異常にどう対応するか

病棟編では

  • 悪性疾患のある患者の腎障害
  • 薬剤性腎障害
  • ナトリウム、カリウム異常の鑑別、補正
  • 輸液療法

などかなり実践的な内容になっています。

最終章では学生の時に学んだ腎生理の復習から、臨床の場面で役立つ酸塩基平衡の考え方もまとめてあります。

内科医夫婦(妻)

腎臓内科の知識は一般内科外来でも頻繁に使うので、この本は内科外来のおともにも最適です。

②極論で語る腎臓内科

この本の役立つ場面

  • 初期研修医で腎臓内科をローテートするとき

この本でわかるようになること

  • 腎臓内科で扱う疾患・病態のエッセンスが学べる
  • 腎臓内科臨床の視点から酸塩基平衡の考え方が学べる
  • 利尿剤の使い方がわかる

本書は腎臓内科診療のエッセンスが学べる本です。

著者は、横浜西部病院腎臓内科の今井直彦先生です。

本書は極論で語るシリーズの腎臓内科バージョンです。
極論で語るシリーズはイラストが多く通読しやすいため個人的にも好きでほかの領域のものもだいたいもっていますが、特に腎臓内科はどんなことを学べばよいかがクリアカットに書いてあり、おすすめです。

特にAKIにおける利尿剤の使い方や酸塩基平衡異常の記載が丁寧で、わかりやすかったのが印象的でした。

内科医夫婦(夫)

利尿剤の使い方(ラシックスのボーラス投与や持続投与の仕方など)はこの本で勉強しました。

③レジデントのための腎臓教室

この本の役立つ場面

  • 初期研修医で腎臓内科をローテートするとき
  • 原発性腎疾患(腎炎症候群)を受け持ったとき

この本でわかるようになること

  • 原発性、続発性腎疾患のマネジメント
  • 慢性腎不全患者の薬剤投与時のマネジメント

本書は腎臓内科の勉強がひととおりできる初期研修医向けの本です。

著者は、群馬大学腎臓・リウマチ内科 前嶋明人先生です。

腎臓内科領域の病態生理、疾患毎の解説、臨床でのCKDの管理まで広くカバーしているので初期研修医が腎臓内科の勉強するのに最適です。腎生理をわかりやすく解説したイラストや腎病理の写真も載っており見やすいです。

情報量が多く通読するのは結構大変で、受け持った症例のところを参照するような使い方を自分はしていたと思います。

今回紹介したほかの本と比べ、特に

  • 原発性腎疾患(ネフローゼ症候群、膜性腎症、IgA腎症、、、)
  • 続発性腎疾患(SLEに伴う腎障害、多発性骨髄腫に伴う腎障害、糖尿病性腎症、、、)

の記載が丁寧なので、研修医で腎炎症候群を受け持った時に参照すると役立つと思います。

そのほか、慢性腎臓病で投与時に注意すべき薬剤(NSAIDsや抗菌薬など)についても書かれています。

④レジデントのための血液透析患者マネジメント

この本の役立つ場面

  • 透析患者を受け持ったとき
  • 担当患者が透析になったとき

この本でわかるようになること

  • 透析患者のマネジメントがわかる
  • 透析の原理、適応、種類がわかる

本書は日常診療における血液透析の基本が学べる本です。

著者は、慶應義塾大学の門川敏明先生です。

透析患者のマネジメントがここまで詳しく書かれた初学者向けの本は少ないため、ぜひ目を通してもらいたい一冊です。

まずは(一見するだけではよくわからない)透析の機械について写真付きで解説してあったり、なかなか勉強する機会の少ない臨床で用いる透析の原理について解説されています。

その後、血液透析のマネジメントについて、導入期の症例、保存期の症例に分けて解説してあります。

透析導入中の薬剤投与などの注意点が詳しく書いてある点がとても役立ちました。

そのほか、急性腎障害へのアプローチ、アフェレーシス(血漿交換、血漿吸着)のことも載っています。

内科医夫婦(妻)

透析初学者向けの本は貴重です

⑤むかしの頭で診ていませんか?腎臓・高血圧診療をスッキリまとめました

この本の役立つ場面

  • 主に初期研修修了後、一般内科で腎臓内科関連の症候に出会ったとき

この本でわかるようになること

  • 腎臓内科診療での疑問点を一問一答形式で理解できる

本書は腎臓内科臨床での疑問点をクリアカットに学べる本です。

編集は、自治医科大学内科学講座腎臓内科学部門の長田太助先生です。

本書では腎臓関連の症候を教科書的に・網羅的に記載するのではなく、実臨床での疑問点について、分野毎の専門の先生方にわかりやすく、スッキリまとめています。スッキリしている一方で最新(2019年出版)のエビデンスを盛り込んでいます。

例えば、

  • どんな症例にたんぱく制限・塩分制限を行うか(具体的に)
  • CKDでも使える鎮痛薬や糖尿病薬、便秘薬
  • 高齢者の高血圧のマネジメント

などがわかります。

内容がわかりやすいので初期研修医の先生でも読めますが、どちらかというと一通り腎臓内科の臨床を経験してからどんな点が臨床で問題かを理解したうえで初期研修修了後に読むほうが理解が深まりそうかと思いました。

内科医夫婦(妻)

各項が独立していて好きなところだけ読むこともでき、隙間時間で読めます。

記事のまとめ

今回は5冊の医学書を紹介しました

  1. もう困らない外来・病棟での腎臓のみかた・・・外来、病棟と場面ごとの対応がわかる
  2. 極論で語る腎臓内科・・・利尿剤の使い方や酸塩基平衡の解説がわかりやすい、コンパクトにまとまっている
  3. レジデントのための腎臓教室・・・腎炎症候群など腎臓内科研修で受け持った時に役立つ
  4. レジデントのための血液透析患者マネジメント・・・担当患者に透析患者がいたら
  5. むかしの頭で診ていませんか?腎臓・高血圧診療をスッキリまとめました・・・ひととおり勉強した後の復習、読み物的にも
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この記事を書いた人

初期研修医や内科診療に携わる若手医師、医療従事者への日々の診療・生活の手助けになるような発信をします。
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