【初期研修医・内科医】消化器内科のおすすめ参考書4冊

この記事では初期研修医や内科専攻医におすすめの消化器内科の参考書を4冊紹介します。

これは、200冊超の医学書を自宅に保有する内科医夫婦(血液専門医・リウマチ専門医)によるレビューです。
2人とも市中病院・大学病院で初期研修・後期研修を経験し、現在も研修医指導をしています。
若手医師がどんな疑問点を持って臨床をしているか、それを解決する本はどれかを理解したつもりで書きました。
不明点などあれば遠慮なくご連絡ください。よろしくお願いします。

目次

この記事で紹介する4冊

この記事で紹介するのは下記の4冊です。
筆者が初期研修医の当時はレジデント向けを謳った消化器内科の参考書がなかったこともあり、紹介する冊数が少なめです。2022年現在では消化器内科診療レジデントマニュアルなども出版されているようです。

  1. レジデントのための腹部画像教室
  2. 極論で語る消化器内科
  3. ブラッシュアップ急性腹症
  4. 消化器疾患のゲシュタルト

①レジデントのための腹部画像教室

この本の役立つ場面

  • 初期研修で消化器内科をローテートするとき
  • 内科系当直で腹痛の症例が来てCTを撮像しようとするとき

この本でわかるようになること

  • 腹部臓器の解剖や腹部CTの正常像から異常所見まで学べる

本書は腹部CTの読み方が実際の症例の画像所見を使い学べる本です。

編集は公立甲賀病院放射線科 山崎道夫先生です。

  • 腹部CTを造影で撮るか単純で撮るか
  • CTでの小腸と大腸の見つけ方、腸管の追い方
  • 画像所見別(液体貯留、濃度異常、造影効果、空気貯留)の鑑別診断
  • 疾患別の典型所見だけでなく、典型所見がない時の考え方や初心者の見落としがちなポイント

などが実際のCT画像所見と共に初心者向けに解説してあります。

腹部CTだけでなく、腹部Xp(最近はあまり使う機会は少ないですが)の腸管ガスの読み方や、急性腹症における腹部超音波の利用の仕方も書いてあります。

内科医夫婦(妻)

消化器内科研修だけでなく一般外科研修のときも、初期研修医が終わってからも長く使える知識が詰まっています。

②極論で語る消化器内科

この本の役立つ場面

  • 初期研修医で消化器内科をローテートするとき
  • 内科病棟で消化器内科の症候の対応が必要なとき

この本でわかるようになること

  • 消化器内科で頻繁に遭遇する症候(消化管出血、消化性潰瘍、便秘など)への対応がわかる

本書は消化器内科関連の症候を最新のトピックを交えて漫画付きで解説してくれているです。

著者は、京橋クリニック診療部部長(消化器内科)の小林健二先生です。

本書は極論で語るシリーズの消化器内科バージョンです。

消化器内科の症候、疾患は非専門医でも遭遇することが多いコモンディジーズです。
本書では非専門医はここに注意して診てほしいという専門医からのメッセージを受け取ることができます。

  • 病棟の急変でも経験する消化管出血への初期対応(まずはバイタル安定を優先する、黒色便、鮮血便の違いを詳しく理解するなど)
  • 肝臓系検査の解釈の仕方
  • よくある兆候である便秘、下痢の具体的な対応
  • 嚥下障害、食道疾患

など、実践的な内容が詰まっており、おすすめの一冊です。

内科医夫婦(夫)

極論で語るシリーズはイラストが多く通読しやすいため個人的に好きでほかの科のものもだいたいもっています。

③ブラッシュアップ急性腹症

この本の役立つ場面

  • 研修医で消化器内科をローテーションするとき
  • 研修医で救急外来のおともに
  • 一般外科でも役立つ

この本でわかるようになること

  • 腹痛を来す疾患を部位や分野別に学べる

本書は腹痛の鑑別診断が学べる本です。

著者は、東京ベイ・浦安市川医療センター外科の窪田忠夫先生です。

こちらは一般外科をローテートするときにおすすめの本としても紹介しています。

腹痛の診療は鑑別すべき疾患が多くシンプルながら非常に難しいものです。
本書では腹痛診療を外科の先生の視点から書かれています。
外科医の先生の経験とエビデンスをもとに腹痛の診断学をクリアカットに説明されています。

腹痛を来す疾患について、画像診断だけでなく、各疾患の疾患概念や対応などまで書かれています。

腹痛は一般外来、救急外来でも頻度の高い症候なので、当直時にも使えます。

見た目はコンパクトですが通読するには内容が濃いため通読するのは大変です。

書かれているのは外科の先生ですが、将来内科に進む方にこそ読んでほしい腹痛の診断学を深く取り上げた名著で、消化器内科の研修でも役立ちます。

内科医夫婦(夫)

私が買った時(2015年)では第一版でしたが、2018年に第二版が出版されたようです。

④消化器疾患のゲシュタルト

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この本の役立つ場面

  • 初期研修医(のなかでも2年目)での救急外来、内科外来
  • (内科系の)後期研修医の救急外来、内科外来

この本でわかるようになること

  • 消化器の各疾患のイメージがつかめる

消化器内科で扱う疾患の種類の幅広さは異常です。

消化器内科のローテーションで全体を学んだあとは、各疾患のイメージを一つずつつかむのが良いです。
各疾患の典型的な病歴を頭に入れて整理するのに本書は最適でした。
特に診断のプロセスに役立ち、初診をたくさん診る総合内科外来・救急外来で役立つでしょう。

記事のまとめ

今回は4冊の医学書を紹介しました

  1. レジデントのための腹部画像教室・・・初期研修ではまずは腹部CTの読み方を学びたい
  2. 極論で語る消化器内科・・・胃・十二指腸潰瘍など頻度の高い症候の対応がわかる
  3. ブラッシュアップ急性腹症・・・外科の先生の視点で書かれた腹痛診療のバイブル
  4. 消化器疾患のゲシュタルト・・・典型的な病歴を学べるので診断技能の向上が望める

消化器内科では悪性腫瘍を診る機会が多いので、がん患者診療におすすめ参考書もご覧ください。

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この記事を書いた人

初期研修医や内科診療に携わる若手医師、医療従事者への日々の診療・生活の手助けになるような発信をします。
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