この記事では初期研修医や内科医におすすめの呼吸器内科の参考書を5冊紹介します。
この記事で紹介する5冊
この記事で紹介するのは下記の5冊です。
呼吸器内科領域の知識はどの科に行っても使う機会が多いメジャーな分野です。
特に呼吸器内科医以外の内科医におすすめの本を紹介します。
初期研修医の期間だけでなく、その後も使える本もあります。
- レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室
- 非呼吸器科医へささげる 呼吸器診療に恐怖を感じなくなる本
- 咳のみかた、考えかた
- ポケット呼吸器診療
- 結核診療ガイド
①レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室
本書は初期研修で呼吸器内科をまわるときに必携の本です。本書は元々は毎日更新ブログ「やさしイイ呼吸器教室」から生まれた本です。
著者は島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター センター長(呼吸器・化学療法内科)の長尾大志 先生です。
呼吸器内科診療の本の中で、どれか一冊と言われたら本書をおすすめします。
呼吸器内科をローテートする際に必要十分な知識が学べ、呼吸器内科診療の全体像が把握できます。
主要兆候、検査、画像診断、治療、呼吸器疾患各論(閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、肺炎)と扱う内容は呼吸器内科診療全般で幅広い一方で一つ一つの内容が非常に濃いです。
本書内の「呼吸器内科医がいない病院の先生向けの喘息講座」を読めばコモンディジーズである喘息の対応が簡単にわかるようになります。
参考画像も多いです
②非呼吸器科医へささげる 呼吸器診療に恐怖を感じなくなる本
本書は非専門医むけに呼吸器診療が読み物的に理解できる本です。
著者は国立病院機構近畿中央呼吸器センターの倉原優先生です。
著者の倉原先生自身、堅苦しい医学書があまり好きではないと前書きで述べており、対話形式でゆるく解説してくださっています。専門医の視点から、非専門医に対するわかりやすさ重視で書かれています。
恐怖を感じている方がどれだけいるかは不明ですが(笑)、呼吸器疾患はコモンディジーズなので、苦手意識がないに越したことはありません。
胸部画像の読み方のコツもコンパクトに記載されています。
そのほかにもCOPDや喘息、肺がん、肺炎、抗酸菌感染症、間質性肺疾患の治療のエッセンスがまとめられています。
③咳のみかた、考えかた
著者は、”呼吸器診療に恐怖を感じなくなる本”と同じく、倉原優先生 です。
“呼吸器診療に恐怖を感じなくなる本”と同じく、わかりやすさ重視で堅苦しさがない点が本書の利点です。
主要症候である咳嗽の鑑別診断や対応がわかるため初期研修でも役立ちますが、研修修了後に非専門医が咳嗽を診るときにとても役立ちます。
咳嗽鑑別のフローチャートが付いていて、使いやすいです。
総合内科外来において咳嗽が主訴で来院される患者さんは意外と多いです。
④ポケット呼吸器診療
本書はポケットサイズの呼吸器内科の診療の参考書です。
医学書の中にはポケットサイズといいながら実際には入れて持ち歩くのが大変なものも時折ありますが(笑)、本書はポケットにちゃんと入るサイズです。すぐに参照しやすいため学生実習や初期研修のローテーション中に最適です。
本書も、著者は倉原優先生です。
本書は毎年更新されており、最新の薬剤情報やエビデンス、ガイドライン、近年のトピックが記載されています。
実際の現場(呼吸器内科病棟・外来)での対応まで網羅されています。
最近ではiPadで電子書籍を使ったりスマホでググる方も多いですが、紙ベースで携行したい方に本書をおすすめします。
⑤結核診療ガイド
本書は結核診療について学べる本で、日本結核病学会が公式に出版しているものです。
- 結核の診断 (肺外結核を含めた)
- 抗酸菌検査の注意点
- LTBI(潜在性結核感染症)
- 結核の治療、フォロー方法
などがわかります。
結核病棟のない病院では診療機会も少なく馴染みが薄いとは思いますが、忘れた頃にやってくるのが結核です。
実際に、後期研修医のころに担当症例が化学療法に伴い結核性胸膜炎を発症し呼吸器内科へ相談しつつ自分の外来で診療した経験もあり、その際に本書がとても役立ちました。
その時の経験から、内科医であれば結核の診断(+治療)に精通しておくべきだと思いました。
もちろん結核病棟がある病院での呼吸器内科研修の際は重宝するのは間違いないと思います。
記事のまとめ
今回は5冊の医学書を紹介しました。
- レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室・・・画像も多く読みやすい、まずはこの一冊
- 非呼吸器科医へささげる 呼吸器診療に恐怖を感じなくなる本・・・読み物的に読めるとっつきやすい本
- 咳のみかた、考えかた・・・鑑別のフローチャート付き
- ポケット呼吸器診療・・・最新の情報に毎年更新される使いやすいガイド
- 結核診療ガイド・・・結核を診ることのある病院で必携
呼吸器内科研修では胸部レントゲン読影が非常に重要なので、胸部レントゲン読影に特化した医学書に関しては関連記事を参照してください。
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